健康の悩み

健康の悩みについては、仮設住居住まいが長くなることによって生じるストレスや女性特有の健康の悩み、また食生活の乱れから生じる血糖値の上昇などが懸念されています。

特に問題となるのが妊婦さんが陥りやすい妊娠糖尿病です。妊娠中に見つかった軽度の糖尿病で、発症率は12%といわれています。しかし妊娠糖尿病を経験すると、将来的に本格的な糖尿病となるリスクが7倍以上にもなるそうですから注意が必要です。

妊娠中は赤ちゃんがブドウ糖を栄養源に成長するため、食べ物から得た糖質は優先的に赤ちゃんへとまわされます。そのため胎盤から分泌されるホルモンがインスリンの働きを抑え、血糖値が上昇するのです。

さらに、震災による避難所の食料がそれに追い打ちを掛けます。菓子パンやカップ麺、おにぎりなど糖質過多の食べ物が続き、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足します。

また、運動不足も食後血糖値を上げる原因。加えて圧倒的なストレスと不規則な生活がさらに血糖値を押し上げます。

こうして避難所生活は、ただでさえ血糖値が高くなりやすい妊婦さんにとって、何重にもリスクが増すものでしかありません。

その後に続く仮設暮らしでも、食生活をはじめ生活習慣が不安定となりがち。出産したら胎盤が排出されるので妊娠糖尿病は自然に治りますが、それでも妊娠中の高血糖は悪影響を及ぼします。

たとえば早産や流産、胎児の発育不全や機能不全を起こすことがあります。また、出産後に新生児低血糖をおこす可能性もあります。

全て胎児に影響するにもかかわらず、自覚症状がないのが妊娠糖尿病の怖いところ。そのため妊婦健診では血糖値の検査を行っています。

妊娠初期の血糖値が100mg/dl以上であればブドウ糖負荷試験を行い、空腹時血糖値が92mg/dl以上、1時間後血糖値が180 mg/dl以上、2時間後血糖値が153mg/dl以上のどれか1つでも該当すれば明らかに糖尿病と診断されます。

初期に正常だった人も、中期、後期とお腹の赤ちゃんが成長するにしたがい、インスリン分泌力が落ちていきます。

それでもケアは、よほどの高血糖でない限り、食事療法と運動療法で改善していきます。

糖尿病の判定基準となるHbA1cを下げるには糖質を抑えめにした栄養バランスの良い食事と食後のウォーキングが基本です。マタニティヨガなど妊婦向けの運動に参加できればなお良いでしょう。

長引く震災の影響は心身を徐々に蝕んでいくかのようですが、お腹の赤ちゃんは命のかたまり、まさに希望のかたまりです。厄介ごとは山積していても、顔を上げて、今できることから少しずつ取り組んでいきたいですね。